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「過剰歯」とは!?原因・割合・手術など子供の親が知りたい情報を解説!!
2019年12月17日
「“カジョウシ”があるかもしれない」。
小児歯科医の先生にそう言われて『カジョウシとは?』とあなたは固まってしまったところではないでしょうか。
漢字では「過剰歯」と書きますが、集団検診では見つかりにくい厄介者なのです。
お子さんの歯が一体どんな状態になっていて、どのような問題があるのか、まとめて紹介していきます。
過剰歯とは乳歯20本・永久歯28〜32本より多く生えてきた歯で原因不明
「過剰歯(かじょうし)」とは乳歯20本・永久歯28〜32本より多く生えてきた歯です。
人の歯は、乳歯なら20本、永久歯なら28〜32本が通常の本数なのですが、それよりも多くできてしまった歯を過剰歯と呼ぶのです。
30〜40人に1人ぐらいの割合で過剰歯がある人がいて、そこまで珍しいわけでもありません(参考:豊橋市歯科医師会HP)。
女性よりも男性の方が多くみられる症状とはいわれますが、原因がはっきりとは分かっていません。
先述の豊橋市歯科医師会HPには、歯が作られる段階において顎の骨の中で“歯の卵”(正しくは「歯胚(しはい)」)が余分に作られたり二つに分かれてしまったりして過剰歯になると考えられたりしています。
過剰歯は抜くのがポピュラー!!手術や処置の仕方は小児歯科医などと検討
過剰歯が見つかった場合は、歯科医院での抜歯によって対処するのが基本です。
正常な歯と逆向きに生えてくる「逆性過剰歯」や真横を向いている「水平埋伏歯」、同じ方向に生えてくる(順正過剰歯)などいろいろありますが、隣在する歯に影響がなく口の中に生えてきそうであれば生え出てから抜くのが多いです。
ただ過剰歯の生え方だけでなく、永久歯への影響なども考慮する必要があるので小児歯科医などに処置の時期を決めてもらいましょう。
骨のなかにある永久歯やその神経を傷つけてしまう恐れがあったり、低年齢すぎると処置がむずかしったりするときもあります。
6〜7歳で永久歯に生え変わる時期を迎えてから抜歯を行うときもありますので、生え変わる以前に発見したら小児歯科医と一緒に経過を見守るようになります。
—–過剰歯の種類や呼び方—–
・正中過剰歯
上の前歯の間や裏側から出てくる過剰歯。もっとも多く見られる症例。
・順正過剰歯
正常な歯と同じく、口の内側にむかって生えてくる過剰歯。
・逆生過剰歯
正常な歯と逆向きに、口の内側から遠ざかるように生えてくる過剰歯。
・水平埋伏歯
真横を向いて生えてくる歯。
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過剰歯を写真やレントゲン画像で見てみよう
上は、過剰歯があるお子さんの口を撮影した写真です。
上の前歯の間が開いているのが分かるでしょうか。
そこに過剰歯があります。
ただ、上の写真を見ただけで過剰歯があると分かる人はおそらくいないでしょう。
歯茎から出てくればともかく、出てこない過剰歯を見つけるには歯科医の診断がかかせません。
下にレントゲン写真も載せましたが、レントゲンを撮った際に過剰歯が発見されるケースが多いです。
当クリニックでは定期検診で異変を感じたらレントゲン写真を撮るようにしており、月に1〜2人程度の発見につながっています。
当クリニックの患者さんでは、過剰歯が見つかる年齢はバラバラです。
早ければ5歳程度の幼稚園児に過剰歯が見つかるケースがあります。
生え変わりのはじまる6〜7歳前後で行う定期検診で歯の数を確認するために撮影するレントゲンで見つかることも多いケースかもしれません。
珍しいですが、なかには先天性歯が過剰歯であったケースや、過剰歯が隣の歯とくっついて癒合歯になっていたケースもありました。
ほかにも外傷の治療で撮影したレントゲンがきっかけでたまたま過剰歯が見つかったケースもあります。
下のレントゲンでは過剰歯が2本写っていますが、複数本みつかる場合もあるのです。
外科的に大きな侵襲の可能性がある手術が必要な場合は、大学病院を紹介して手術を行い、その後の経過観察を当クリニックで行います。
過剰歯の発見だけでなく、歯科医院でレントゲンを撮影することで永久歯がしっかりあるか・変な箇所から歯が出てこないかなどを診査・診断しています。
過剰歯を治療しないと永久歯の歯根を溶かしたり嚢胞ができていたりする危険が!?
永久歯やその神経を傷つけてしまう恐れがある以外にも、過剰歯の悪影響はほかにも懸念されています。
専門的な内容ではありますが、ほかの悪影響も簡単にまとめてみましょう。
過剰歯によるトラブル(1):歯並び・噛み合わせが乱れる
過剰歯自体が邪魔になって永久歯が正しく生えるのを阻害する場合があります。
上顎の前歯2本の間で過剰歯が見つかる「正中過剰歯」がこのケースに該当します。
過剰歯によるトラブル(2):永久歯の歯根を溶かす
過剰歯の場所が悪いと、永久歯の根「歯根」を溶かしてしまう恐れがあります。
歯根が溶けると内側にある神経も傷つき、死んでしまう危険すらあるのです。
神経が死ぬと永久歯は抜けやすくなってしまいます。
過剰歯によるトラブル(3):嚢胞ができている
過剰歯を囲むように「嚢胞(のうほう)」ができていることがあります。
嚢胞とは膿(白血球の死骸)のかたまりです。
大きくなった嚢胞が永久歯の歯根を溶かしてしまう危険もあります。
過剰歯によるトラブル(4):細菌感染の恐れが出てくる
虫歯によって歯の神経が死んでしまったとします。
虫歯の根元に過剰歯が埋まっていると、過剰歯も細菌に感染する場合もあるのです。
強い痛みがでたり、大きく腫れ上がったりします。
前歯に注目!!過剰歯の発見につながる2つのヒント
過剰歯の多くは、虫歯治療や定期検診でレントゲン写真を撮った際に発見されますが、もし発見が遅れたら……。
心配される親御さんのために過剰歯を見つけるヒントを2つ紹介します。
●過剰歯を見つけるヒント①:前歯にスキマができてふさがらない
上顎の前歯(上の歯の真ん中)付近で過剰歯が多く見られます。
上で紹介したように、前歯の間に過剰歯があると、永久歯がまっすぐ生えるのをジャマして、スキマが開いてしまうのです。
前歯が八の字に広がって生えていないかチェックしてみましょう。
●過剰歯を見つけるヒント②:乳歯は抜けたのに永久歯が生えてこない
こちらも上顎によく見られます。
過剰歯のせいで永久歯が正しく成長できず、生えてこないケースです。
7〜8歳前後から乳歯からの生え変わりが始まりますが、抜けたあとに永久歯が生えてきているかしっかり確認してください。
もし抜けてから半年以上も永久歯が生えてきていない場合は小児歯科などに診てもらった方が良いでしょう。
過剰歯は子供・赤ちゃんだけでなく大人も注意!
お子さんの口内を気にされている親御さんも多いかと思いますが、大人になってから過剰歯が発見される人もいます。
しかも、永久歯が生えそろって歯並びが完成してしまっている大人は、過剰歯の治療が大掛かりになってしまって大変です。
お子さんの虫歯や歯並びは気にされているのに、自分はしばらく歯科にかかっていない親御さんも多いではないでしょうか。
お子さんの検診だけでなく、クリーニングなどと合わせて、過剰歯がないか親御さん自身の分も確認してみてもいいかもしれません。
また過剰歯のほかにも、この時期のお子さんの口にはチェックしていただきたいポイントが多くあります。下の2記事なども参考にしてお子さんの口の健康を守っていきましょう。
■歯が生えてきた生後6〜9ヵ月赤ちゃんのママが気をつけるポイント
https://www.nagomi-kids-dental.com/blog/2019/09/17/precautions-when-teeth-began-to-grow/
■赤ちゃんの歯が生える前兆4選!!よだれ・夜泣きが増える⁉︎
https://www.nagomi-kids-dental.com/blog/2020/03/30/signs-of-baby-teething/